今日だけを生きる

どうも関西人です。最近、読書が特に好きです。読んだ本の記録と、日々のできごとをメインで書いてます~。

【T.ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』】感想

T.ヴェルメシュさんによる2012年のベストセラー

帰ってきたヒトラー』(森内薫さん訳)を読みました!

ヒトラーが「現代」のベルリンに蘇り、コメディアンと勘違いされたまま

どんどんビッグになっていく物語です。

 

文庫本で読んだので、上と下の2冊ありました。

所々に番号がふってあって、それが最後の方の注釈に繋がってます。

なので注釈のページに付箋をつけてから読み始めると、

都度、注釈を確認できて便利だと思います。

「上」を読んでいたときには注釈の存在に気づかなくて、すごく後悔しました笑

 

感想としては...とにかく読んでいて苦痛でした!

なんといっても全編、一人称がまさかの「ヒトラー」ご本人。

想像だけでできることじゃないので、著者の方ほんとに凄いなと思ったし、

ヒトラーという人物について、多面的に知る機会になりました。

彼は本当に、自分のものさしでしか世界を見ない人で、

まるで全てを知る神のような言動、正直何度もイラッとしました。

でもそれが何というか「カリスマ性」のようになっていたのが怖かったです。

余計に嫌いになったというか笑 これは個人の感想です。

 

でも読み終わった後、いろんな方の解説も載っていたので読んでみたのですが、

その中でマライ・メントラインさんの

「思考停止状態での類型的な拒絶は、むしろ将来的に大きな危険をもたらす可能性が高い」

という解説文を読んで、はっとしました。

 

ヒトラーのこと、今を生きる私達は歴史を知っているから「悪人」と捉えるけど、

当時の人々からすれば彼は、苦労人で、魅力的で、頼りがいのある人物だった。

選ばれし者だったのです。

じゃあ私達も、今の人をしっかり見極めなければならない。

「これをしたから悪だ」とか「これをしたから凄い」ではなくて、

その人のすべてを見る努力をしなければならない。

そうでないと、また同じ事がいつ起きてもおかしくない。

個人的に、そういう危機感を感じました。

 

どんなに良い人でも、どんなに悪い人でも、

いろんな面を持っているのが「人間」です。

それは当たり前のことかも知れないけれど、当たり前すぎて忘れがちだと思います。

だからこそ、人はおかしな方向にもいきます。

このままではダメだと思ったとき、それを止められる人はどれくらいいるだろう...

 

自分のことで精一杯になりがちな今の私達、今の社会。

もっと周りを見ることも大事にしよう...と個人的には思いました!